「床下の小人たち」の感想

映画に比べると、いい意味で人間臭さが出ていました。むしろ映画の方はそういった人間臭さをカットしてキレイに見せてしまったために、原作でテーマとしていた部分がなくなって、「人間に見つかって家を出て終わり」というなんとも盛り上がりのない展開となったような気がします。

原作と映画の大きな違いは、人間に見つかった後の小人の対応の違いです。映画の方だと男の子から人形の家の道具を与えられることをよしとしませんが、原作の方は、男の子が協力的であるのをいいことにアレコレと持ってこさせては、これまでの質素な生活とは打って変わって贅沢な暮らしを始めるようになります。悪く言えば人間を利用して自分たちが楽な暮らしをするようになるんですね。映画では情的に描かれている男の子との関係と比べてみると随分趣旨が異なっているわけです。

そしてそれがこれまでの「借りぐらし」のレベルを超えてしまったがために、家の人がいろんな物がなくなっているのに気付いてしまって、ついには床下の家が見つかって引越しを余儀なくされる、という中身になってます。だから原作の場合、家から出て行くのは、従来の暮らし方を捨てたことに対する自業自得的な結果として書かれていて、この辺りに、物質文明に対する作者の批判が込められています。

映画の方ではこの部分が全くありませんから、どうにも後味が悪いというかもの寂しさが残る終わり方になってしまったんじゃないかと思います。もっとも原作の方では、話が続いて、野に出た後もイロイロと苦労をすることとなって、最終的には人間と絶縁宣言をするみたいなので、今回の映画だけでは全貌がつかめないのは無理からことなのかもしれません。