ツタヤのオンラインレンタルで届いたものの1週間近くほったらかしになっていたDVD、「アンジェラ」。ツタヤはあらかじめ20本以上を予約リストに登録しておいて、空いたものから発想するというシステムになっているので、次に届くのが分からない楽しさがあります。で、今回届いたのが「ユナイテッド93」と「アンジェラ」なわけですが、我ながら「アンジェラ」を予約した記憶がなく、誰が監督でどんなジャンルに属する作品なのかもまるで思い出せません。たまにはこういう行き当たりばったりで映画を観るのも悪くはありません。
あらすじを端的に記すと、さえない男が借金を返せずに橋から飛び降りようとした時、同じ橋の上から飛び込んだ女性を助けたことから、その謎の女性と行動をともにするようにし、ついには・・・と出だしを見ればおおよそ見当がつきそうな内容でタイトルから謎の女性の招待もピンとくるものがあります。最初はサスペンス系の内容かしらん?と思っていたら全然違ってました。しかもこれ、モノクロのフランス映画でリュック・ベンソン監督なんですね。
モノクロ画面にフランスを舞台にフランス語が流れてくるわけですから非常におしゃれな雰囲気が漂ってきます。内容もさえない男と天使との自分探しとラブストーリーなので映像の雰囲気と非常にマッチするんですよね。内容的にも穏やかで(一部過激かも?)優しい流れで非常に心地よいです。
が・・ラストが唐突というか話の流れ的にはそうなるんだろうと思ってはいましたが、映像的に急にCG全開になって雰囲気が違ってしまったのが非常にもったいないです。もっと詩的に幻想的に描いたのであれば「んー、いいもの観た!」という気分に浸れたと思います。例えるならシャンソン聴いているつもりがいきなりハードロックの音楽に変わった、という感じでした。
終わったところで「硫黄島からの手紙」を観るべく映画館へと向かいます。入りが気になるところでしたけど、日曜日の遅い時間帯にしては、若い世代から老夫婦に至るまで幅広い年齢層でお客さんは結構入っていました。人を見かけで判断しちゃあいけませんが、ガングロじみたコギャルのような子も中にはいて、「ちゃんとこういう映画も観るんだなぁ」と妙に感心してしまいました。単に好きな俳優が出ているから観にきただけ、ではガッカリですが。
「父親たちの星条旗」では英雄として国家に利用される3人の姿を回想を通じて時間が行ったり来たりしながら進んでいきましたが、今回は現代から過去へと戻り、後はそのまま時代が移ることなく物語は進みます(以下内容に触れます)。
「国民」としての個人、「人間」としての個人、それが戦争を通じていかに流されてしまうのかを垣間見せられました。国家という枠を取り払えば何も異なることのない両者が、その枠のために傷付けあい、一個人の判断でしたことがあたかも全体がそうであるかのような誤解と偏見の怖さ、友好のための贈り物が自決の道具になってしまう皮肉、悲しさなどなど色々なことを考えさせられます。アメリカ人を残虐に殺す日本人、アメリカの負傷兵を助ける日本人、投降した日本兵を足手まといだからと殺すアメリカ人、シャベルを振り回してむかってくる日本兵を殺すことなく保護したアメリカ人、色々な対比がありました。どちらが正しいわけでもない、どちらが悪いわけでもないのでしょう。「父親たちの星条旗」と同様に非難めいた内容はありません。前作と同様に硫黄島で起きたことを淡々と描くがゆえに観る側の思いが自然と深まります。
この映画の中で「死んで靖国で会おう」とのセリフが出てきます。もし当時みんながそれを合言葉に命を散らしていったのであれば、果たして首相が靖国神社を参拝することの是非を問う必要があるのかな?と思います。映画1本観ただけで感化されるわけではなく、右に傾いた思想を持ってるわけでもありませんが。この手の問題は深入りすると果てしなく広がっていくのでここでとどめておきます。
それはさておき、この映画をイーストウッド監督が撮ったということが何よりも凄いです。
