珍しく仕事にまつわる話をば。
仕事上無線を使って連絡を取り合うことが多いのですが、場所によって電波の入りの良し悪しがあるので、常に音質が明瞭であるわけではなく、また聞き違いがあっては時には1文字違いが大違いな可能性もあるので、ひらがなやアルファベットについては予め定められた呼称があって聞き間違いを防ぐようになっています。
例えば「さくらの『さ』」とか「なごやの『な』」とか「ロンドンの『L』」という風に説明すれば多少聞き取りにくくても聞き間違いを防ぐことができるんですね。ちゃんと定められた無線の送り方をせず勝手に作られては聞き取る側が混乱してしまいます。アルファベットの「P」は「ペキンの『P』」と説明しますが、これを好き勝手に「パグの『P』」だとか「ポポロの『P』」なんて言おうものなら、100%怒られることになります。
が・・・これがなかなか咄嗟の場合には出てこないことがあるんですよね。アルファベットのB、C、D、G、T、これらにはそれぞれ「ボンベイの『B』」「チャイナの『C』」「デンマークの『D』」「ジャーマニーの『G』」「東京の『T』」と地名に絡めた説明が定められていますが、この5文字に関してはもう、野球のチーム名で送られてくることが非常に多いです。「ベイスターズの『B』」「カープの『C』」「ドラゴンズの『D』」「ジャイアンツの『G』」「タイガースの『T』」・・・ま、地名に比べたらこちらの方が覚えやすい・分かりやすいこともあるのでつい使ってしまう気持ちは分からなくもありません。
そして若手の同僚からいつものように無線が飛んできました。「一度下記の番号について確認を願います。ドラゴンズのジー、フランスのエフ・・・」、んー、若いうちはちゃんと決められた説明使ってもらわないと困るんだけどなぁと思いつつ、メモを取って必要な確認をした後こちらから「デンマークのディー、フランスのエフ・・・については○○である」との回答を送ります。ドラゴンズと送ってきたものを敢えてデンマークと返事することによって自分の言い間違いに気付いて欲しいとの願いを込めて。
しかしその直後に思いも寄らない返事が戻ってきました。
「私が言ったのは『デンマークのディー』ではなく『ドラゴンズのジー』です、再確認してください!」
・・・無線のマイクを握り締めながら首を傾けつつしばし沈思黙考・・・ドラゴンズと説明しているからには該当するアルファベットは「D」のはず、ドラゴンズの「G」とは一体なんじゃい?!一応確認のために聞き直します。
「あー、間違いなく『デンマークのディー』ではなく『ドラゴンズのジー』なのか?」
「そのとおり、それで間違いありません、どうぞ」
んー、全くもって話が通じません。これは一体どうしたものやら。仕方がないのでさらに確認です。「もしかして説明しようとしているのはジャーマニーの『G』のことではないのか?」
しばらく何かを考えているかのような沈黙が続いたあと返事がきました。
「えー、あっ、はい、そうです。その『G』です」
こっ、この大馬鹿ものー!ドラゴンズの「G」なんて説明がどこにあるー!どこをどう間違えたらそういう説明になるのか分かるように説明してくれ!
もう回りは大爆笑、自分も完全にツボにはまってしまってしばしの間何も無線を送ることができなくなってしまいました。数々の言い間違いは多々あれど、かような無線は前代未聞。
で、朝になって本人が戻ってきたところでなんであんな言い間違いしたのか聞いてみても「いや、私にもなんでか分かりません」との答え、まぁ良いネタ話で楽しませてもらったから良しとしてます。かように世の中予期せぬことが多々起こりえます。


