ポニョ!

久し振りに映画館に行ってきました。
既に梅雨が明けて暑い毎日が続いていますが、午前中はまだバイクに乗っていても冷たさの残る風が気持ちがいいです。田舎道だけに舗装はされていても両側は一面の田んぼで、青臭いの匂いが漂ってくるのがまたいいんですよね。空の青さと草の緑のコントラスト、広がる視界、バイクに乗っていて実に楽しいと思えるひと時でした。

さて、本日観て来たのは「崖の上のポニョ」。「スピードレーサー」も観たいところですが、いかんせん字幕版の上映が1日に2回しかなく時間が合いません。明日は毎週月曜日のメンズデー、全ての映画1000円の日なので狙い目、です。
ジブリ作品と言えば前々作「ハウルの動く城」、全作「ゲド戦記」(いずれも原作有り)が個人的になんともはや・・・な内容でしたから、今回は原作無し、ということもあって非常に興味のあるところでした。
3連休の日曜日だけに映画館は子供連れが多く実に盛況でしたが、いざ上映室に入ってみると4割ほどの入りでした。結構ポケモンの方に流れていたのかも?

早速の感想ですが、今作は何かと評価が分かれてしまうんじゃないかと思います。万人向けに「面白い!」と言えるかというと自信を持っては言えません。でも、いい意味で「何も考えない」子供的な視点で観ると、実に純粋で清々しいファンタジーだと思います。私は、目一杯楽しんできました。その真っ直ぐでキレイな世界に涙して、素直に「いいなぁ」と心の中で反芻できる作品でした。
決して子供向けの映画だとは思いませんが、大人が観るに際しては、色んな心のフィルターも外す必要があるのかな、とも感じました。むしろそういう観方をしてもらうことを願って作られた作品なのかもしれません。

では、具体的な感想に入ることといたしましょう。もちろん伏字でネタバレ満載でいきます。前2作(ハウル&ゲド)は何かと謎が謎のままで残っていることが多く、観終わった後に説明不足感に納得のいかない部分が多々残ったわけですが、今作はというと、 説明不足な部分もほとんどなく(あるにはありますが、考えて背景を推測できるレベル) 、 単純明快で分かりやすい です。この 単純明快さ を挙げて、 「話の盛り上がりに欠ける」 との意見もあるようですが、今回はそういうものを求める内容ではないかと思いますので、個人的にそれはそれでいいんじゃないの?と思ってます。それでもあえて、ツッコミをするとすれば、

・謎深い「フジモト」の正体
・ポニョの使う魔法と世界の破滅のつながり
・ありのままを受け入れ、何事にも動じない町の人々の凄さ
・世界破滅(月が降りてきている)に対する危機感の薄さ
・親を名前で呼ぶことの違和感

といったところでしょうか。この辺に 拒否反応 が出てしまうと、今作に対する評価が 著しく下がってしまうこと でしょう。これを 「そういうものなんだ」とあっさり受け入れることができれば 、きっと面白いものに感じられるのではないかと。
「なんでそーなるの?」と分からずじまいのままの謎は困りますが、今回は説明不足過ぎない、説明が過ぎて理屈っぽく過ぎない、ちょうど自分の頭の中で補完できるぐらいのものでした。あまり謎が多すぎると受け入れる前に「なんで?」との思いが先に立ちますが、うまく自分で補完できる程度の不明確さであれば考えをはさむ余地があってむしろ楽しさを増してくれますね。このバランスは人によってまちまちですが、私にとってはほどよいものでした。
中にはパンフレットの中で明かされる、 「海の水位が上がったのは、月が降りてきたために、月の引力の影響が現れるようになったため」 という、画面からそこまで推察するのは難しいだろう、というのもあるにはありますが。
ひどい意見になると、 「金魚がハム食べるか!」 とか 「金魚が海に住むか!」 なんていうのもあったりするようですが、そんな風にしか捉えられないんだったら観るな!と言いたい(笑)。

ということで、気持ちのいい映画を観たなぁというのが率直な感想です。午前中とはうって変わって蒸し暑くなった帰り道をバイクで走りながら無性にポポロのセカンドアニメが観たくなりました。

などと書きながら、ポポロの「はじまりの冒険」のことを思い出していました。ポニョの批判的な感想を読んでいると、まさに「はじまりの冒険」に対するそれのような感じだったんですね。「考える前にありのままを感じれば楽しめるのに、もったいないなぁ」と。両方とも「人魚」という共通項があるのは偶然でしょうけど(笑)。