那由多の軌跡

ポポロと並んで好きな作品である日本ファルコムの軌跡シリーズの最新作。
今作はこれまでの空の軌跡、零の軌跡、蒼の軌跡と続いたRPGとは異なるアクションRPGで、それでも軌跡の名が付くことからこれまでの作品に多様なりともつながりがあると思ってましたが、完全な新作で独立して完結する物語となっていました。
少々のネタばれを交えながらもその感想を記します。といっても知らない人が見ても中身は全く分からないと思いますけど。

システム的には従来の「ツヴァイ」シリーズ、「イース」シリーズに英雄伝説のクエストの要素を付け加えた、いいところを組み合わせたような感じで非常に遊びやすい上にイロイロとやり込み要素もあって飽きない作りになっています。アクションRPGは日本ファルコムのお家芸ですから弱点やパターンを見つけ出してギリギリのところで倒すという手に汗握るボスバトルは健在で、音楽に関してもこれまでどおりに申し分なし。2周目に出てくる新しい要素もあるので全部をやり込むには結構時間がかかりそうですが、だからこそ思う存分堪能できそうです。

外面的な部分はさておき、その物語はどうだったのか、果たして「軌跡」の名を冠するだけの魅力はあったのかどうか?と言うと、「また好きになれる作品に出会えることができた」、この一言に尽きます。もうこれ以上はないだろうという、ポポロ2同様にとびっきりなハッピーエンドを見せてくれます。しかも単に見せるだけではなく二段構え、三段構えできますから非常にいい意味での“してやられた感”は、予期せぬ不意打ちと清々しさと嬉しさと喜びがいっしょくたに混じり合ったような気持ちにさせてくれます。

当初20時間位でラスボスを倒し、心残りがあるにもかかわらず閉じようとする世界と物語に「このまま終わってしまうのか?」と不安に思っていると、スタッフロールに「この物語はまだ終わらない」とのテロップが表示され、後日談へと突入しました。おそらく色んな人と話を聞くエピローグ的なものだろう、となるとあーしてこーしてこうなるはずだ、と、「ファルコムの作品だったらこのように終わらせるだろう」との先読みをしつつ、そうなってくれることを願いつつ、先を進めることとなりました。
岬であの子が話したいことがあると待っている、でも今までのいきさつからすればちょうどあのタイミングで帰ってくるべき人たちが帰ってくる、そんな思いでこの後日談を締めくくって本当のエンディングを迎えようと思って、最後となるであろう目的地に向かったところ、「そうでなくっちゃ困る!」とやはり期待通りの展開が待ってました。

・・・が、そこでめでたしめでたしのハッピーエンドになるかと思いきや、どうにも様子が違います。もう1か所さらに行かなければならない場所が出てきました。ならばそこに行って真相が分かれば全て解決するのだろうと、その時点ではまだエンディングは目の前だと思ってました。この時点でのレベルは30、で、向かうべき場所に示されている推奨レベルは50。ちょっと待て、これは何だ?!と少々混乱しつつもようやく理解しました。倒したラスボスがまだ道半ばだったと言うことに。まだ果たさなければならない使命があるということに。
こちらの当たり前のような予測はひっくり返され、ものの見事にしてやられました。これまでの作品でもこういう経験を何度もしていますから、今回ばかりは驚かされないようにしようと伏線にも気を付けていたつもりだったんですけど、全然甘かったです。

結局それからさらに20時間ほどかかりましたから合計で要したのは約40時間。そして最後の最後に対峙することとなったのは、倒さなくてはならなかった相手がまさかのまさかでしたから涙が止まらなかったです。そうしてようやく迎えることができたエンディングは、もう望むことが何一つないほどの一点の曇りもない素晴らしいものでした。

そして今、日本ファルコムの最新作「イース セルセタの樹海」を始めてます。イースシリーズの25周年となる今作は、唯一公式作が長らく存在してこなかった「イース4」ですから非常に楽しみです。10月には零の軌跡エボリューションが出ますし、12月には空の軌跡FCのHDリマスター版がPS3で出ますから、ちょーっと時間が足りそうにないです。PSPのリマスター版がシリーズ化すれば零の軌跡、蒼の軌跡も那由多の軌跡もイース7も大きい画面で楽しむことができるので大いに期待してます。せっかくなのでパソコン版の隠れた名作である「ツヴァイ2」もコンシューマー機に移植されて多くの人の手にわたることにも期待したいところです。