「『どん』でーす。よろしく!」
開店時間も待ち遠しくお店へと走り、感動の再会を果たす。イロイロと説明を受け、それが済んで運ばれてきたのは、巨大な手提げダンボール箱。受け取ると中で元気よく暴れている。空気取りの穴に指を突っ込んだら思いっきり甘噛みされ、つめの付け根をガブリ!とやられ慌てて箱から指を抜く。前来た時はこんなに元気あったっけ?
最初の1週間位は環境が変わって子犬も落ち着かないので、あまりかまいすぎないように、との注意を受けていたので、遊ぶのはぐっとこらえつつ、ひらすら専属カメラマンorカメラ小僧に徹しまくる。ところが落ち着きなく動き回る、色も真っ黒でフラッシュもバカバカたくわけにもいかず、低速シャッターで何枚もぶれてばかりの写真となってしまい悶絶。頼むからおとなしくならないかなぁと思うものの、てんも物珍しげに寄ってきてはケージの向こうにいる見知らぬ同類に向かって吠えに吠えまくるので、騒々しさに一層拍車がかかるばかり。てんにとっては「自分と同じ種類の犬=仲間」と写るのか、単なる一般的な犬と写るのかは分からない。ただ今日の様子を見る限りでは警戒心を抱いているような感じだ。
もちろん子犬ばかりを相手し過ぎててんにさみしい思いをさせてしまうのはもっての他なので、均等にかまう・・・いや、かまってもらってる?
ひと段落すると眠り始めたので、起こさないようにと2階に移動する。ちょうど水冷キットも届いたところなので、どんが寝ている間に取り付けてしまおう。
今回購入したのはZalman社の水冷キット。CPUとGPUを両方冷やしてくれる優れものだ。話に聞いていたとおり、箱は凄まじくでかい。その箱の容積のほとんどを占めているのがラジエーターだ。部品を箱からすべて取り出して準備が整ったところでいざ開始!
まずはマザーボード。CPUの冷却ファンを取り外したところに、パーツを組み込む。ネジで固定しつつ、いつまでたってもネジの回転が止まらないので、下手するとCPUを圧で壊してしまうんじゃないかとヒヤヒヤ、意外にしっかり回さないと完全に固定されないらしい。
マザーボードの次はグラフィックボード。こちらも冷却ファンを外したところにパーツを取り付け、ビデオRAMの両側には放熱パネルを貼り付ける。
これもパーツ固定用アームの取り付け穴がなかなか見つからず、少々難儀する。説明書を読んだらちゃんとグラフィックカードごとの取り付け穴の場所について説明が書かれていた。ちゃんと説明書は読んでおくべきだ、うん。
無事に済んだところで、再びマザーボードをケースに戻し、しっかりとパイプを接続、絶対に水漏れしないようにとパイプを奥までぐっと差し込み、固定ナット等をしっかりと取り付ける。見た目的には水漏れするような心配はなさそうだ。
取り外した増設ボードを全て元に戻し、ケーブルをつないだところ
で本体はこれで完成だ。パイプとラジエーターの接続は実に簡単で、パイプを適当な長さに切って締め金具をはめるだけ。これでついに水冷キットの取り付けは完了。始めてみると意外に難しいものでもなく手間もかからない。説明書を読むと、パソコンの電源を入れる前に水冷部分だけを1時間ほど試運転させ、冷却水の漏れがないかどうかを確認しておかなくてはいけないらしい。確かにいきなり電源オンで水漏れてショートでもした日には目も当てられないぞ。幸い水漏れが起きることもなく、パイプ内に残っている気泡もうまく解消されているらしい。
さぁ、後は電源を入れてどれほどの効果が出ているのかを、どれほど静かになったのかを確認するのみだ。ワクワクしながら電源を入れると、モニタには映像信号が見つからないとのメッセージが現れパソコンが起動しない。そ、そんなアホな・・・。もしかして空冷ファンを取り外す際にCPUかグラフィックカードのどちらかに負担がかかって壊れてしまったのか?!焦燥感に駆られながら、起動に関係のないボード類は再び取り外して一番シンプルな状態にし、さらに以前使っていたアナログCRTモニタを隣の部屋から引っ張り出して最小限の構成で組み立てる。まるで反応無し。古いグラフィックカードを挿しても状況に変わりがない。となるとCPUそのものがいかれて起動できなくなっている可能性が高い。
と、ここでマザーボード上に何やら空いたままになっている電源コネクタを発見する。これ・・・なんだったっけ?説明書を読んでCPUの12V電源であることが分かり、慌ててケーブルを差し込む。これで起動してくれたらいいんだけどなぁ。
しかしそんな願いも空しく、今度は電源が入って1秒もしないうちに勝手に電源が落ちてしまうようになった。あれ?12V電源って以前は使ってなかったっけ?もはや何がなんだか分からない。時間も刻一刻と遅くなっていくので、仕方がないので近所のパソコンショップまでCPUを買いに出る。余分な出費になってしまうけど致し方あるまい。
残念ながらショップには発熱の大きいプレスコットのCPUしかない。これまで使っていたノースウッドの方がいいんだけど、無いものは仕方がない。同じ3GHzのCPUを買って取り付けるのもなんだか悲しいので、せっかくだから少々クロックを上げて3.4Gのものにした。
はやる思いで家に帰り、新しいCPUを取り付ける。これで起動しなかったらもうマザーボードごと総入れ替えするしか道がない。スイッチオーン!・・・反応なーし!・・・なんでじゃー!12V電源ケーブルはやはり挿しておかなくてはならないことに気付くも、すぐに電源が落ちてしまう。なぜ?
ふと電源が落ちた直後に電源ボタンを押してみると・・・あれ?普通に電源入ったぞ?画面もBIOSチェックが表示され、すぐにウィンドウズの起動も始まった。よ、よかったー・・・!もしかしてCPUに問題があったわけじゃなくて、もう一度電源ボタンを押せばいいだけの話だったとか?前のCPUに付け替えて同じようにしてみたところ、当たり前のように起動した。ってことは今までバタバタしていた努力は全くの無駄で、買ってきたCPUもまさしく不必要な出費ということに?!なな、なんてこったー。
でもついてなのでそのまま新しいCPUを使うことにした。おかげでベンチマークテストのスコアもさらに1割ほどアップしてくれたから、まぁよしとしよう。
プレスコットだけにCPU温度が高い。前は40度台だったのか、起動直後から50度台になっている。ベンチマークで負荷をかけると64度まで上昇してしまう。もっともそれ以上上がることはないし、負荷がなくなればすぐに温度も下がるから今のところは問題ないはず、多分。
それにしても思っていた以上にパソコンは静かになった。純正のCPUファンとグラフィックカードのファンがなくなっただけで全然違う。今度は静音を謳い文句にしていたはずの電源ファンの音が目立つようになった。目立つと言っても壁のエアコンの音よりも静かなレベルだから、さすがにこればかりはどうしようもない。ラジエーターのポンプ音もほとんど聞こえてこない。これだけ静かになるんだったらもっと早くに水冷化しておくんだった。120%の満足度だ♪
数々のトラブルには見舞われたけれども、これにて水冷化によるパソコン静音化プロジェクトはこれにて終了!
天を突かんと真っ直ぐに、黒々垂直隆々とそそり立つラジエーターの勇姿はまさしく男のロマーン!
階下でどんが目を覚ましてさみしそうにキューキュー鳴いているので、ちょこっと構いに行くとしよう。甘やかしすぎは厳禁、だけどあの声で鳴かれ続けちゃあ、たまったものじゃない。