家の中の 水たまり

このところ毎日夜は、親は入院している祖母の病院で泊まっているので、愛犬てんの夜の散歩は自分の当番となっている。つまり朝散歩に出かけて、自分が帰ってくるまでは、てんはずっとトイレを我慢していなくちゃいけないことになるわけだ。故に食事を与えてくれて散歩に連れて行ってくれるご主人が帰宅した時のその喜びようは相当のものとなる。

帰宅して部屋の電気をつけると、何やらソファーのふもとに水溜りが出来て光っている。
・・・や、やりやがった・・・。

「てんーーーーーーー!」

思いっきり叱ってスリッパで尻をはつく。どうやら自分が何をしでかしたのかよく分かっているらしく、しきりにきまりの悪そうな表情を浮かべ、なんとか機嫌を取ろうと寄り添ってくる。こういう時に甘やかすとしつけにならないので、頑としてしばらくの間は謝罪は受け付けない。ひとしきりションボリさせたところで、こちらも怒りの封印を解く。もちろんきちんと雑巾で拭いて掃除しておいたことは言うまでもない。

晩ご飯を食べ終え、コップに水を入れて2階に上がろうとした際、少し床に水をこぼしてしまう。水がこぼれた辺りの床を見るとてらてらと光っているので、結構こぼれたようだ。ティッシュを手に濡れたところを拭いてみると、純白のティッシュがみるみるうちに水気を吸って黄色くなってゆく。
・・・こ、ここにもひっかけてあったんかーい!

もはや怒る気力も失せて無言のままに掃除をする。「このションベン垂れー!」軽く頭をコツンとやるも、何のことやらよく分かっていないらしい。もし明日帰って来た時にもこんな状態だったらタダじゃおかないぞ。