黒髪の大和撫子

「アンタの好みってのはどういうタイプだ?」

どうにも周りのオジサン連中はこういうことを聞きたがるらしい。もっとも人のことをオジサン呼ばわりできる身分じゃあないけど。しかもこういう話になるとからかい甲斐があるのか妙に盛り上がってしまう分タチが悪い。
しかし・・・普段そういうことを考えているわけではないのでいざ言葉にまとめようとしても出てくるはずがない。ま、敢えて表現するならフィーリングでしょう、やっぱ。そんなことをマジメに答えても仕方がない。でも適当にお茶を濁してしまうのも芸がない。

「そうですね・・・髪は黒髪で、大和撫子、そう大和撫子でなくちゃあいけません!」
「・・・スマン、もっぺん言うてくれ」
「いや、だから黒髪の大和撫子・・・あ、そんでもって20代前半なら言うことありませんね」
「今時そんなのがおるかー!」
「いやっ、だからこそ譲歩しちゃあいけないんです。絶滅寸前のトキのように大和撫子は死に絶えさせちゃあダメなんですっ!!」
などという意味不明な会話が繰り広げられる。そんでもって帰りに一緒に地下鉄に乗っていると、

「ほーれ見ろ、多かれ少なかれみんな髪染めてるじゃないか」
「だからこそ、その希少な存在をですね・・・」
「お、あそこの高校生ならいいんじゃないか?」
「そんなにワタシを犯罪者にしたいんですか・・・」

ま、縁は奇なもの味なもの、でんねん。

今日のトリビアの泉、きっとネコ好きには狂喜乱舞な内容だったに違いない。