「スピード・レーサー」&「ハプニング」

2本立てで観てきた映画の感想をまとめまーす。

1本目、「スピード・レーサー」。予告やポスターでは「CG使いまくりの原色だらけでサイケデリックな映画」という印象で、なんとなくハズレっぽい雰囲気を感じていましたが、勘違いもいいところでした。
確かにあの色使いや目まぐるしく進む展開や見せ方は好き嫌いの分かれるところだと思いますが、自分にとってはものの見事にツボに入りました。いきなり冒頭からレース場面で、ハイスピード&ありえない動きのカーレースが展開されますから、乗り物好きにはたまりません。人のいない映画館であるのをいいことし始終「うわー」と口を開けつつ相好を崩しつつ画面に見入ってました。
そしてレースを繰り広げながら過去と現在を交差させつつ進む物語と激しく交差しながら展開するレースと見事にマッチして、実に爽快で古い表現を使うならまさに「チョー気持ちいい」映画であったと言えましょう。見た目で若干損をしているところがなきにしもあらず、ですが映像だけが売りではない、中身のしっかりした映画です。こんなことならもっと早く観ておけばよかったなぁと思います。
歯切れの悪いあのレース結果にどういう終わり方をするのだろう?と心配していましたが、最後の40台中39台全てが潰しにかかってくるという孤独なレースで劇的な勝利を収めた上に、あのレーサーもちゃんと「自分のやるべきこと」をやって大団円に終わる爽快さには思わずエンディングロールの歌を聴きながら「ゴーゴー!」と腕を突き上げずにはいられない衝動に駆られてしまうほどでした(笑)。
そして、忘れられないのが最後のレースでスピンフックを外したのはいいもののマッハ号のエンジンが止まってしまったあの場面。車の声を聞き当てて見事にエンジンが吹き上がった瞬間、錯覚ではなく本当に背中を映画館のソファーに押し付けられる感触を味わいました。まさに精神が肉体を支配したとも言える瞬間でしたが、それほどまでに没入できる映画でした。
DVDが出たら間違いなく買いますが、この映画は大画面&大音響で観ないともったいないです。画面に飲み込まれるような、圧倒されるようなあの迫力は本当に映画館ならではの醍醐味だと思います。

そして続く2本目の「ハプニング」。午後9時過ぎの回ですが、さすがに初日1回目の上映とあってお客さんの入りは結構ありました。みんな「今回シャマラン監督は何を持ち出してくるのだろう?」と期待していたに相違ありません(笑)。
観終わってます感じたのは、多分配給会社が宣伝の仕方を間違っているのではないか、ということでした。シャマラン監督の作品はすべて想いも寄らない「大どんでん返し」が隠されている!的な紹介がされていますが(超能力とか宇宙人とかその他イロイロ)、今作についてそういう予告の仕方をすると悪い評価につながってしまうんじゃないかと思います。ではこの辺からネタバレを混ぜていきましょう。

今回は途中から事態の原因が示されるので、予告で期待させるような「大どんでん返し」的な展開はありません。どんでん返しに過度の期待を抱くと拍子抜けして「なんじゃこりゃ?」という感想を持つことになるかもしれません。
でもその要素をとっぱらって観てみると結構怖いものがありました。トラに食われる場面とか草刈機の下敷きになる場面とか集団で首吊りしているというスプラッター的な場面もあり、見た目的なえげつなさもあるにはありますが、なんといっても混乱の正体が「植物」であること、これは想像するだにぞっとします。植物が人間を敵とみなし、相互に意思疎通をして化学成分を放出して人間を死に至らしめるというのは、ふとヒッチコック監督の「鳥」を彷彿とさせるものがありました。警告的なニュアンスを出すでもなく、淡々と異変を見せているのが逆に考えさせられるものがあります。ちゃんと事の真相を言い当ててニュースでしゃべっている科学者を、ニュースキャスターがあたかも変人のような扱いをしているのが人間の愚かさを示しているようでもありました。
人に積極的に勧めようとは思いませんが、それでも今回はケチョンケチョンに非難されなくてはならないようなものではないなぁと思います。
で、シャマラン作品と言えば必ず「ドキッ」とさせる心臓に悪い場面が必ず1回はありますが、今回もご他聞にもれずきちんと用意されていました(笑)。映像的に明らかに「あー、そろそろ来るぞ、来るぞー」と分かるシーンがあって、心の準備はしていたんですけどそれでもやっぱり驚かされてしまったのが少々口惜しくもありました。

次の予定は・・・「カンフーパンダ」「ドラゴンキングダム」「インクレディブル・ハルク」「ダークナイト」「ハムナプトラ3」「ハンコック」・・・などなど、いやはや目白押し!